鮭は産卵のために生まれた河川を遡上しますが、もし子供から「なぜ鮭は生まれた川に必ず帰ってくるの?」と聞かれた場合、ちゃんと答えることができますか?
なぜ鮭は生まれた川に必ず帰ってくるのでしょうか。川によって遡上時期に差があるのはなぜなのでしょうか。
鮭はなぜ遡上するのか、鮭の一生も併せてご覧ください。
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鮭の遡上、なぜ鮭は生まれた川に必ず帰ってくるの?
鮭は川で産卵し、孵化するとやがて海へ出ていき数年後に生まれた川に遡上します。
鮭の一種、シロザケは秋から冬にかけて川産卵し、卵が孵化して稚魚になると春の雪解けとともに海へと泳ぎ出て行きます。
8~11月頃までをオホーツク海で過ごすと、大西洋の西部へと移り越冬します。やがて夏になるとベーリング海を回遊しながら成長し、その年の冬にはアラスカ湾へと移動して冬を越します。
その後4年ほどベーリング海とアラスカ湾を行ったり来たりしながら、やがて日本の自分が生まれた川に「母川回帰(戻って来る)」します。
生まれた川に遡上する理由や方法については、まだ多くの部分が謎に包まれています。
いくつかある説の中で現在有力なのは、生まれた川のにおいを覚えているからではないかと言われています。
ある実験では、鼻に詰め物をして臭いがわからない状態の鮭は目指す川へは戻れなかったのだそう。水の中の「におい」とは、複数のアミノ酸によるものだそうです。
ただ、外洋に出てしまうと広大な海でごく狭い地域の川のにおいを嗅ぎ分けるとは考えにくく、地球の磁気を感知している・太陽コンパスを利用している、また海流を利用しているなど諸説ありますが確実なことは判っていないのです。
川によって鮭の遡上時期に差があるのはなぜ?
鮭は別名「アキアジ」。秋が遡上の最盛期ですが川によっては7月末、遅い川だと2月頃まで遡上があります。
なぜ、これほど遡上の時期に幅があるのでしょうか?
それは水温が関係しています。地下水温が低い地域では遡上は早く、高い地域は遅くなる傾向があります。
これは、鮭が産卵する場所は水が湧き出る場所であり、産卵してから孵化するまでの積算温度は480℃が必要だと言われています。「積算温度」とは、1日の平均温度を毎日合計していくもので、平均の温度が10℃であれば48日で積算温度に達します。温度が低ければ日数がかかり、温度が高ければ早くなります。
つまり水温が低いと産卵から孵化までは、より時間がかかります。そのため、水温が低い川には早く遡上する必要があるのです。
不思議なことに鮭は、産卵する場所や適した時期を的確に計算しているように振る舞います。
遡上に適した川にいる鮭が美味しいのはなぜ?
- 釧路・昆布森の鮭
旬である秋以外に穫れる「時鮭(トキザケ・トキシラズ)」が有名です。通常の鮭よりも味が良いとして珍重される時鮭は、日本海へ帰る途中の若い鮭。「まだ脂の乗りが不十分なのでは?」と思ってしまいますが、その風味には定評があり、通常の鮭よりも高額で取引されます。 - 根室周辺
半島と国後島がある根室付近には、鮭の栄養となるプランクトンが豊富なため卵の成長を助けます。この地域で穫れる鮭から取れるイクラは大きくて味も良いのです。 - オホーツク海沿岸
オホーツク沿岸では、網走近辺には鮭の遡上に適した川がいくつもありますが、より北になると適した川がありません。そのため、鮭は日本海側まで回り込んで遡上する川に向かいます。産卵が近づくと鮭は食べなくなるため、産卵まで時間があるこの地域の鮭は脂の乗りが良いことが特徴です。特に、ウロコが銀色に光ってみえる「銀毛」の鮭は、東京などで新巻鮭として珍重されます。ただし、地元の人たちはウロコが剥がれて見た目が悪く見える鮭の方が美味しいと言うそうです。
鮭は遡上を終えると雄と雌で1組のつがいを形成する
鮭が秋になると生まれた川に戻って産卵し、卵がかえるとその稚魚もやがて大きくなってその川に遡上します。なぜ、このような行動を取るのか、詳しいことはまだまだ謎の多い鮭。
遠く外洋を巡る旅の末、群れをなして仲間たちと一緒に生まれたか川に戻ります。遡上した鮭は、そこで一組のつがいとなって卵を有無準備をします。
メスは尾びれを使って川底の砂利を寄せ、卵を生むための産卵床を作り、数回に分けて卵を産み付けます。そこにオスの鮭が精子をかけて受精するのです。
遠い旅を続け、卵を産み付けるために体をボロボロにした親鮭は、そこで力尽きます。
やがて孵化した稚魚である「仔魚(しぎょ)」は、泳ぐことも餌を食べることもできません。体にぶら下げた卵黄の養分で成長するのです。
遡上せずに川にとどまったまま大人になる鮭もいる?
日本にいる鮭には、カラフトマスやサクラマスなどの仲間もいます。
産卵時には1匹の鮭が3,000個ほどの卵を産み、その中の100匹程度が「フライ」という幼生期を経て「バー」という稚魚になっていきます。
そこからさらに「スモルト(銀毛)」と形態を変えて群れを作って海へと向かっていくのです。
海に出て、プランクトンや小さなニシンなどを食べながら成長し、3~5年で生まれた時の1,000~3,000倍の体重にまで大きくなって帰ってくるのです。
現在は、産卵期になると人間が人工孵化によって管理、放流して鮭の資源保護に努めています。
しかし、1匹の鮭から3,000個も生まれる卵のうち、大人になれる鮭は0.5~5%程度で、その中の8割は生まれた川に遡上します。
まれに、生まれた川から海に出ることなく川に留まって大人になる「残留型」や、地形的な問題などで海に行くことができないまま川に適応してしまった「陸封型」のように、海を知らずに川で生きる鮭もいるのです。